「イケメン/美女は見飽きる」は本当？科学が示す“外見”と“魅力”の真実

「イケメン/美女は3日で飽きる」という言葉がありますが果たして本当なのでしょうか。今回も研究結果を元に、イケメン/美女は何度も見ることによって魅力度が低下していくのかについて、科学的に解説します。

初期印象の役割

人間は相手の初期印象について外見によって大きな影響を受けます。外見は相手の情報が少ない段階で数少ない判断材料となるため、異性についても見た目が良い人に惹かれる傾向があります。

ただ、出会ってから3カ月以上経つと外見よりも内面の方が人間を評価する要素としての比重が大きくなることがわかっています。

とはいえ、特に異性関係の場合は外見的魅力が低い相手ともう一度会う、という機会は学校の同級生や職場の同僚でもない限りないので、外見が良くなければスタートラインで足切りされてしまうのは明白です。

ある大学生21人を対象にした実験です。男女18枚ずつの写真を用意し

というものです。

外見的魅力度が高い（平均以上の容姿を持つ）人物の写真は見れば見るほど、被験者がその人物を魅力的だと感じる傾向が明らかになりました。

心理学では「単純接触効果」といって、何度も会うことによってその人物に対して親しみや好意を感じやすくなる、という先行研究がありますが、この実験では何度も見ることによって好意が上がっていくのは「容姿が平均以上の場合のみ」ということが確認されました。

「イケメン/美女は3日で飽きる」は真っ赤なウソで、むしろ見れば見るほど魅力度が上がっていく、という事実が確認されたわけです。

「イケメン/美女は3日で飽きる」とセットで言われる言葉で「ブサメン/ブスは3日で慣れる」というものがあります。この2つを合わせて「顔で人を選ぶものじゃないよ」ということを言いたいわけなのですが、こっちは本当なのでしょうか。

同じ実験によると、外見的魅力度が低い（平均未満の容姿）場合は、たとえその写真を何度見たところで、外見的魅力に対する反応は変わりませんでした。

「ブサメン/ブスは3日で慣れる」というのも真っ赤なウソだったわけですね。現実はひどいものです。

このことから「単純接触効果」は、顔の美醜については、平均以上の場合しか成り立たない、ということが証明されてしまいました。

先行研究も合わせて考えると、「単純接触効果」により「親しみ」は増すのでしょう。しかし、イケメン/美女に慣れてフツメン/フツ女に見えてきたり、ブサメン/ブスに慣れてフツメン/フツ女に見えてきたりはしないということですね。

先の研究での脳波測定により、イケメン/美女を見たときと、それ以外の時では脳波や脳の活性化している部位が異なることがわかっています。

イケメン/美女の顔を見ると脳波に「LPP（後期陽性電位）」が確認されました。LPPは感情刺激に反応した時に見られる脳波であり、つまり、人間は魅力的な顔を見たときに感情を動かされていることが示唆されています。

一方でフツメン/フツ女以下を見たときにはこの脳波は見られず、また、活性化している脳の部位も異なることがわかっています。

具体的にはフツメン/フツ女以下を見たときは感情への影響はなかったものの、繰り返すたびに顔を認識する部位の反応速度が上がっていきました。これは単純に「その顔を認識して、判別しやすくなった」ということを示唆しています。

悲しい現実が確認されてしまいました。「イケメン/美女は3日で飽きる」も「ブサメン/ブスは3日で慣れる」も、皆婚制度のためのコマーシャルでしかなかったわけですね。

科学は時に私たちに新しい発見をもたらしてくれますが、今回のように誰もが本当は知っている事実を突きつけるだけのこともあります。

しかしこのサイトもそれなりの記事数になりましたが、やはりきれいごと抜きに事実を見るとイケメン/美女の効力が大きすぎます。おそらく資産に換算すれば数十億円程度を持って生まれているようなものでしょう。

現代の若者が躊躇いなく顔にメスを入れるのも頷けます。たぶん彼らの方が賢いし現実が見えているのでしょう。

顔はともかく、せめてもの服装や髪型、化粧、スキンケアくらいはなんとかしたいところですね。これだけ外見が重要という結果ばかり出揃えば、結局外見に全振りにするしかないわけで、深く考える必要がないのでかえって楽かもしれません。