恋愛の色彩理論(恋愛色彩心理学)

恋愛の色彩理論(恋愛色彩心理学)

この記事では恋愛の色彩理論(ラブスタイル類型論、恋愛色彩心理学とも)について解説します。カナダの心理学者ジョン・アラン・リーによって考案された分類(仮説)であり、恋愛のタイプも色と同じようにいくつかの種類に分けられるのではないか、というものです。

恋愛の色彩理論(Colour wheel theory of love)とは

恋愛の色彩理論はカナダの心理学者ジョン・アラン・リーによって考案された分類。人間が恋愛に対して取りうる態度や考え方を、様々な文献から抽出し、6つの型に分類した仮説です。

まず愛の基本形はエロス・ルダス・ストルゲの3つの型に分けられるとし、これを愛の三原色として、それらの混合形としてプラグマ・マニア・アガペーが生まれると仮定しました。

これらを単に分類しただけではなく、類型同士の位置関係も重要な意味をもち、向い合せの関係にある類型は、互いの恋愛観を理解できないとされています。

愛の三原色

リーが考案した愛の三原色はそれぞれ次のとおりです。

エロス(情熱的な恋愛)

最も純粋で最も動物的な恋愛。

一目惚れ、情熱的で性愛的。恋愛至上主義的でロマンチックな考えや行動を取る。運命を感じる。

直感的・直情的でロマンチックな恋愛。身体的魅力、容姿の好み、といた外見的な魅力がエロスの中心核とされている。

ルダス(遊びの恋愛)

恋愛を一種のゲームとして楽しむ類型。

恋人そのものではなく恋愛ゲームの駆け引きに強い興味を示す。そのため特定の相手に執着することはなく、相手を次々に取り換えたり、同時に複数の相手と付き合うこともいとわない。

また、あくまでゲームとしての駆け引きを楽しんでいるため、相手を騙したり、重要な秘密を打ち明けないこともある。

ストルゲ(友情の恋愛)

友情の延長線上にある恋愛。

長い時間をかけて愛を育むため、穏やかで長続きしやすい。恋愛といっても友人や仲間に近い感覚。

性衝動からの恋愛ではないため、パートナーに対して情熱的な愛情や独占欲・嫉妬はあまり感じない。

混合形

プラグマ(実用的な恋愛)

ルダス(遊びの恋愛)とストルゲ(友情の恋愛)の混合形。目的を達成するための手段としての恋愛。

金銭、社会的地位などを目的として、それを手に入れるために属性で相手を選び恋愛する。政略結婚、お見合い、コンピュータによる相性判定などがこの型に分類されている。現代でいえばマッチングアプリや婚活などがこの典型。

わかりやすくいえば、他の類型では「相手を好きになる → この人を恋人にしたい」という順序を経ているのに対し、プラグマは逆で「こういう恋人がほしい → 相手を探す」という順序を経る。

マニア(偏執狂的な愛)

エロス(情熱的な恋愛)とルダス(遊びの恋愛)の混合形。躁病的恋愛。病的な愛とも呼ばれる。

独占欲が強く嫉妬深い。欲求不満になりやすく、不安から相手の愛情を何度でも確かめたがる。相手を高く評価したいという願望、そしてそんな相手と愛し愛されたいという願望から関係に特別感を見出すが、行き過ぎて強迫的になってしまうことも。

マニアの体験する恋愛感情は非常に強烈で、極度の快楽と苦痛を交互に味わうことから躁病的とも言われる。

アガペー(献身的な恋愛)

ストルゲ(友情の恋愛)とエロス(情熱的な恋愛)の混合形。相手に与えることで幸せを感じる利他的、献身的な無私の恋愛。

相手との関係において、受け取ることよりも与えることからより多くの喜びを感じる。寛容で、忍耐強く、理解があり、忠実で、自己犠牲的。

リーは調査した回答者のなかにアガペー型を見つけることができなかったとしている。また、別の研究者はこの類型は理想であり、現実にはありえそうにないとも述べている。

日本ではかつて

  • 「アッシー(女性の足となり車で送迎してくれる男性)」
  • 「メッシー(女性にメシをおごってくれる男性)」
  • 「ミツグ君(ブランドものや宝石など高価なものを女性に貢いでくれる男性)」

という言葉が流行ったそうですが、これらの男性も「女性と仲良くなりたい、愛を返してほしい」という下心からこうした振る舞いをしていたとすれば、アガペーとは異なります。

アガペーとは見返りを求めず、自分が与えたことそれ自体に満足する恋愛だからです。そしてそんなものはたしかに現実には存在しないでしょう。

神でさえ信心や教会への寄付を求めてくるのに、人間が無私の愛を与えてくれると考えているとすれば、ちょっと冷静になった方が良さそうです。

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