別れた恋人がいつまでも忘れられない…実は恋人を忘れるのはけっこう大変で、平均して1年くらい引きずると言われています。この記事ではそんな元恋人を忘れて、未来に向かって走り出すための効果的な方法について、研究結果をもとに解説します。
別れた恋人を忘れる実験
2008年、アメリカ・ミズーリ大学が別れた恋人を忘れるための方法についての実験を行いました。
最近別れたばかりの男女を26人集め、その別れた恋人の写真を見ながら、それぞれ次のことを考えてもらいました。
- 別れたことをポジティブに考え直すグループ
- 別れた恋人の嫌なところを思い出すグループ
- 他のことに気を逸らそうとするグループ
統計的には恋人を忘れようとするとほとんどの人が1つ目か3つ目の方法を取りがちです。例えば「あんなやつと別れて正解だったんだ」と別れを無理やりポジティブに考えようとしたり、「いやいやあんなやつのことはもう忘れよう」と他のことに気を逸らしたり、といった具合です。
しかしこの実験後、アンケート調査を行ったところ、2つ目の「別れた恋人の嫌なところを思い出すグループ」が最も元恋人への感情が薄れていました。
無理に別れという出来事をポジティブに考えようとしたり、他のことに気を逸らすよりも、元恋人との思い出に向き合ったうえで、悪い面にフォーカスすることが最も元恋人への想いを断ち切るのに効果的だったわけです。
再評価の心理
人間は自分以外の人間に対し、「この人はこういう人だ」という評価を無意識のうちにしています。
これは初対面の印象を覆すのが難しい原因でもあり、例えば人は人間の顔つきや体格、動作の流麗さからまだ知らない相手の性格までもを評価してしまっており、実際の性格がまったく異なったとしても、一度決めた相手への評価を覆すことは極めて困難です。
しかしあからさまな変化、例えば次会った時に整形していた、体型が大きく変わっていた、ファッションの系統がまったく別物になっていた、くらいの露骨な変化があった場合、人間はあらためてその相手を評価し直すプロセスが発生します。
先の実験の「別れた恋人の嫌なところを思い出す」グループは、この再評価を意図的に引き起こすことで元恋人のイメージを覆すことに成功したのです。
つまりイメージに引っ張られて感情的になっている脳に、事実、特に相手の嫌な面を思い起こさせることによって脳をいったん冷静な状態に戻し、理性で相手を再評価するよう促したわけです。このようなプロセスを心理学では「認知的再評価」といいます。
重要なのは感情の支配を解くこと
別れた恋人が忘れられないという方は、強い感情に脳を支配されている状態にあります。この状態では冷静な判断ができないため、復縁を望むにしろ次の恋に向かうにしろ、適切な思考や行動が取れません。
「別れた恋人の嫌なところを思い出す」というのは、無理に相手を嫌いになる必要はありません。良い面ばかり思い出してしまう相手の嫌な面をあえて思い返すことによってバランスを取り、脳をニュートラルな状態に戻してあげることが重要です。
冷静になった状態でもなお相手との復縁を望むのならどのようにアプローチをかけるのが正解か、成功は見込めるのか、あるいはそれほど固執するような相手でもなかったと思うのか。
私たちの脳はとにかく感情に支配されがちです。理性的な状態で物事を考えられる状態に自分の脳を持っていく、その方法を身に着けておいた方が人生上手くいきやすいはずです。