誰もが本心では理想の相手と付き合いたい、と思ってはいますが実際に理想の相手となんて付き合えるわけがないよな、と現実を見て諦めてしまっているもの。この記事では理想の相手と付き合えた場合とそうでない場合で、長期的な恋愛にどのような影響が出るのか調べた研究をご紹介します。
恋愛における「理想」と「現実」
私たち人間は恋愛をする時に、理想を追いかけた方がいいのか、それともやっぱり現実を受け入れて自分が付き合えそうな人の中から一番条件の良い人を選んだ方がいいのか悩みます。
仕事や人生における多くの決定では現実を受け入れた方がうまくいくことが多いのは、あなたがそれなりの年齢ならわかっているでしょうし、その手の研究を見てもやはりそうです。
しかし恋愛の場合にはそれがちょっと変わってくる、ということがカリフォルニア大学の研究でわかっています。
人間はどの程度理想の相手と付き合うのか
過去に行われた異性の好みに関する96の論文をまとめてメタ分析にかけたところ、いくつかの結果が見えてきました。
まず、多くの人、約98%の人は理想とは異なる相手を恋人に選んでいます。
例えばよく理想の相手像として挙げられるのは
- 優しい
- 思いやりがある
- 誠実
といった特徴ですが、実際には女性は
- 怒りっぽい
- ぶっきらぼう
- 暴力的
といった特徴の男性を選ぶことが多いのは調査するまでもなくわかります。
今回のカリフォルニア大学の研究でも、人間が理想に沿ったパートナーを選ぶことは非常に少なかった、たったの約2%だったことがわかっています。
人間は恋人をどのように選ぶのか
では、多くの人はどのようにして恋人を選んでいるのでしょうか。実は人間は恋人を選ぶとき、理想の条件などの理性ではなく、ほとんどが感情と無意識によって選んでいることがわかっています。
典型的なのが一目惚れで、アレはほとんど性欲に突き動かされているだけだとわかっています。
自分ではそれに気付かないまま、無意識のうちに「好き」になってしまっており、それが理想の相手像とどのくらい近いのかという理性的な判断は残念ながら挟まっていないのです。
人間も動物ですし、恋愛は特に動物的な本能が強く出る部分なのでしょう。実際、好きな人を目の前にしただけで私たちの判断能力はチンパンジーと同程度まで下がるという研究結果もあります。
理想の相手像との乖離はどのように恋愛に影響を及ぼすのか
私たちが直観で選んだ相手と、理性的に考えた恋人の理想像との違いはどのように恋愛に影響するのでしょうか。これが今回のメインテーマです。
短期的な恋愛の場合
直観的に好きになった相手と自分の理想像がかけ離れていても、短期的な恋愛にはほとんど影響を及ぼさないことがわかりました。
短期的な恋愛はとどのつまり性欲に突き動かされた動物的な恋愛でしかなく、動物的に相手と愛し合うことでお互いに満たされ、それに満足したらお互いに冷めていくだけだからです。
現代社会のような複雑な要素を加味して長期的にこの人とうまくやっていけるかどうか、というのは、短期的な恋愛には関係がないわけですね。
長期的な恋愛の場合
これが長期的な関係になってくると変わってきます。
自分の理想とかけ離れた相手を直観で選んでしまった場合、長期的な関係ではケンカや浮気といった様々な問題がより多く起こり、あまり良い関係を築けない傾向にあることがわかりました。
長期的に良い関係を築けているカップル・夫婦ほどお互いにお互いの理想を満たしている傾向が高かったのです。
例えばインドア派の人がバリバリのアウトドア派と付き合った場合、相手の趣味に合わせるには莫大なエネルギーを必要とします。最初は性欲に突き動かされてこの壁を乗り越えるのですが、所詮は短期的な衝動に過ぎないため関係を長く続けるのは難しいのです。
他にも典型例なのが、優しい人が好き、と頭ではわかっていても、衝動に突き動かされてチンピラと付き合ってしまい、「最初は優しい人だったのに騙された」と後になって後悔するパターンです。
これは認知的不協和といって、「優しい人が好き」「でも目の前の暴力的な男に魅力を感じてしまっている」という矛盾した状態を脳が受け入れることができず、「目の前の男は優しい人である」と、ありもしない錯覚を作り出してしまっていると考えられます。
理想的な恋人を選ぶにはどうすればいいのか
では、衝動に支配されずに長期的な関係を築ける理想の相手を選ぶにはどうすればいいのでしょうか。その方法をいくつかご紹介します。
理想を明確にする
自分の理想を最大でも3つくらいまでに絞り、紙に書き出しておきましょう。スマホにメモするでも構いません。
例えば
- 優しさ
- 経済力
- 価値観の一致
など、特に重要な条件をハッキリさせておきましょう。
友人や信頼できる人に意見を聞く
私たち人間は好きな人を目の前にした時に冷静な判断ができません。チンパンジーと同程度の判断力で、目の前の相手が自分の理想にどのくらい合っているのかを見定めるのは困難です。
いくら理想の条件をメモしたところで、いざ好きな人ができた時に相手がどの程度その条件に当てはまるのか、私たちは自分で判断することができません。
そこで、友人や信頼できる人にそのメモの内容を伝え、気になっている人がどの程度条件に当てはまっていそうか客観的な判断を仰ぎましょう。
自分で判断するとやはり認知的不協和がやはり発生してしまい、脳がそれを錯覚しようとするため判断を誤る可能性が高いです。
脈アリのサインを見逃さない
そもそもの話、理想的な相手を好きになったとしても、あなたがよほどのイケメンや美女でない限り、相手が自分を好きになってくれる可能性は低いです。
しかしだからこそ、脈アリのサインが出た時は見逃したくないもの。
この記事でもお話したとおり、人間は98%くらいは自分の理想とは違う相手を恋人に選んでいます。あなたが相手にとっての理想から遠い場合、その関係は長続きしたい可能性は高いのですが、どのみち相手の理想は簡単にわかるものではありません。
自分の理想の相手がもしも脈アリサインを出してくれていたら、そこはしっかりと察知し、みすみすチャンスを逃さないようにしましょう。