恋愛関係において、パートナーへの「自己犠牲」の姿勢はどのような影響をもたらすのでしょうか?今回は、アムステルダム自由大学の研究を基に、自己犠牲と幸福度の関係について詳しく解説します。
自己犠牲は関係を良好にする?
2020年に行われたアムステルダム自由大学のメタ分析では、自己犠牲がカップルの幸福にどのように影響するのかを調査しました。研究は82件のデータを統合し、総計32,053人分のデータをメタ分析にかけるという科学的に信頼性の高い内容です。
この研究から、自己犠牲と幸福に関する3つの興味深い傾向が明らかになりました。
1. 自己犠牲の「姿勢」は関係性を良好にする
カップルの一方が「自分の欲求を抑えてでも、相手のために尽くしたい」という意識を持っている場合、2人の関係性(ウェルビーイング)が向上することが分かりました。
要するに、「パートナーのために自分を犠牲にしても構わない」という前向きな気持ちが、関係をより良くする要因となるのです。
2. 実際の「自己犠牲」は個人の幸福度を下げる
一方で、実際に自己犠牲を何度も行うと、個人の幸福度は低下していく傾向が確認されました。
「相手のために無理をして犠牲を払う」ことは、短期的には関係を維持するかもしれませんが、長期的には自分の幸福感を損なう可能性が高いのです。
3. 女性の方が自己犠牲による幸福度低下が大きい
特に注目すべき点として、女性の方が男性よりも自己犠牲による幸福度低下が顕著であることが分かりました。
例えば、女性が「自分の時間や体力を犠牲にしてパートナーを支える」場合、無理が重なるほどストレスが増し、結果的に関係性が崩壊するリスクが高まります。
自己犠牲の「正しい使い方」
それでは、どのように自己犠牲と向き合えば良い関係が築けるのでしょうか?
1. 気持ちだけ受け取る姿勢が大切
パートナーが「自己犠牲をしてでも支えたい」と言ってくれた場合、その気持ちに感謝しつつも、実際に犠牲を強いることは避けるのが理想です。
例えば、男性は女性が自己犠牲の姿勢を見せた際に「ありがとう」と感謝しつつ、実際には「自分も協力する」という姿勢を見せることが重要です。
2. 自己犠牲は「姿勢」だけで十分
「お互いに自己犠牲をしても良い」という気持ちがあれば、関係は良好になります。しかし、実際に無理をし過ぎると幸福度が低下してしまうため、お互いに自立しながら支え合うことが長続きする秘訣です。
恋愛関係においては「自己犠牲をしたいと思う気持ち」が重要であり、実際に過度な自己犠牲を行わないことが鍵だということです。
特に、男性は女性の自己犠牲を鵜呑みにせず、協力し合う姿勢を示すことで、関係を長続きさせることが期待できます。