今回の記事は一歩引いて、愛や幸せの本質に迫る内容。我々現代日本人は生まれた時から一夫一妻制を当たり前だと思っていますが、海を跨げば今でも一夫多妻や多夫多妻の国はたくさんあり、日本においても時代が違えばちょっと怪しいところがあります。
つまり一夫一妻というのは人間の本能でもなく、唯一絶対の原理でもありません。この記事ではこういった制度が私たち人間の幸福にどのような影響を与えるのかについての研究をご紹介します。
ゲルフ大学の研究結果
カナダ・ゲルフ大学において、一夫一妻制の夫婦200人と、オープンリレーションシップ(互いの了承があれば別の相手との関係を公認する約束)の夫婦140人を集めて、その生活を追跡調査し、幸福度にどのような差が出るのかを調べた研究では、どちらの制度に従った夫婦も幸福度に違いは見られませんでした。
一夫一妻だから幸せとか、逆に不幸になるとか、そういった違いはみられなかったようです。
日本における一夫一妻制
日本では鎖国を解禁した明治~GHQの支配下にあった戦後にかけて、キリスト教的な価値観が強く広まり、現代の一夫一妻制への強固な価値観が根付いたと考えられます。
私はかつて日本の性文化について、文化人類学的な研究を読み漁ったことがあるのですが、それ以前の日本の性文化は一夫一妻制というより、どちらかといえば多夫多妻制に近い印象を受けました。(日本はあまり文献を残さない国なので断定まではできませんが)
これは戦国時代や江戸時代の将軍が正室のほかに側室を迎えていたという話ではなく、村落部において村全体で夫婦関係を共有するような文化感の形跡が見受けられました。子供が生まれても父親がわからないのですが、それは「村の子供」という扱いでみんなで育てる文化です。
さらにえげつない文化が残っていた話もあるのですが、このサイトは全年齢向けに書いているためここに記載することは控えます。日本の純粋な性文化は、現代を生きる我々からみるとけっこうえげつないです。
婚姻制度と幸福度
婚姻制度と幸福度には明確な関係性がないことがわかりました。ただこれは「婚姻しているカップルの幸福度」についての話で、結婚相手を見つけられずにあぶれてしまった人たちの幸福度まで合わせた「国民全体の幸福度」についての研究結果は今のところ私が語れるものはありません。
例えば一夫多妻制は男の夢、みたいに言われますが、実際に一夫多妻制を敷いているイスラム圏の国では男性もなかなか厳しい戦いを強いられているようです。
女性からすればお金持ちの第8婦人になるか、普通の男の第1婦人になるかを堂々と選べるわけですから、一夫一妻制であれば早々に結婚市場から去ってくれるはずの有力な男性といつまでも比較され続けることになるわけです。
ただまぁ、日本においても貞操観念が著しく失われてしまった現在(韓国・中国よりも著しく低い)、疑似的な一夫多妻制は平成には既に広まっており、令和には本当の一夫多妻を堂々と公言する人までちらほら出てきました。
多様性の時代ですし、本人たちが望む限りその関係を止めることは法的にもできません。私たちは現在、価値観の大きな過渡期に生きているのかもしれません。