数年前、YouTuberがやたらとモテる時期がありました。おそらく今でも一般的な職業よりもモテる部類でしょう。黎明期は目立たなかった職業が、なぜ今や「モテる職業」に変化したのでしょうか?この記事では、YouTuberがモテる理由を心理学の研究結果から紐解きます。
「潜在可能性バイアス」とは
人間の評価基準には、心理学で「潜在可能性バイアス」と呼ばれる特性があります。これは、「過去の実績」よりも「これからの可能性」に対して、より高く評価する傾向のことです。この現象は多くの研究で実証されています。
このあたりはスタンフォード大学やハーバード・ビジネススクールの研究でも確認されています。
例えばバスケットボール選手の評価に関する実験では
- 過去5年間の競技データを提示して評価を依頼する場合
- 「今後5年間での活躍の可能性」を予測して提示する場合
この2つを比較すると、「可能性」に焦点を当てた場合のほうが、選手の評価が高くなる結果が得られました。
しかも、その選手に支払われる想定報酬も、可能性を評価されたケースでは実績評価の場合より100万ドル(日本円にして1億5千万円)ほど高額でした。
モテるYouTuberの共通点
YouTuberはまさにこの「潜在可能性バイアス」の恩恵を受ける職業です。
つまり、これまで稼げるとされていた弁護士、医者、証券マンといった「過去の実績」よりも、これから稼げる可能性があるYoutuberやVtuber、データサイエンティスト、AIエンジニアといった新しい職業の方が、人は高く評価してしまいがちなのです。
さらに、YouTuberは自ら企画・撮影・編集を行い、視聴者との距離感が近い存在です。こうした点も「誠実で努力家」という印象を生み出し、異性からの評価を高めているのだと考えられます。
可能性を評価するのは恋愛だけじゃない
この「可能性バイアス」は恋愛だけでなく、ビジネスや芸術の分野でも見られます。
- ビジネス: リーダーシップの評価でも、過去の業績より「将来どのように組織を導けるか」が重視される傾向があります。
- 芸術: すでに評価されている作品よりも、「将来的に評価が高まる可能性がある」とされる作品のほうが好まれる場合が多いです。
- グルメ: 「予約困難になる可能性が高い店」といった宣伝文句は、実際の実績を上回る集客効果を生みます。
NetflixやSNSでも、「これから来る!」と予測される作品やアーティストが注目を集めやすいのは、このバイアスが働いているためです。
人間は「不確実なもの」に惹かれる
なぜ人間は確実性より可能性に魅力を感じるのでしょうか?
これは本能的なものと言われています。不確実なものは脅威にもなり得るため、私たちは本能的にそれをチェックし続けようとします。その結果、不確実性に対する関心が高まり、自然と評価も上がるのです。
恋愛でもこの心理は顕著です。「相手が自分を好きかどうかわからない」、いわゆる「好きバレしていない」状況では、その人への関心が強まりやすいというのは、多くの人が経験したことがあるでしょう。
モテるために可能性をアピールするコツ
では、私たち一般人がこの「可能性バイアス」を活用するにはどうすればいいのでしょうか?
重要なのは、過去の実績ではなく、未来への意欲や目標を語ることです。
たとえば、日常会話でも「自分がどんな成果を出してきたか」を自慢するより、「これから何を目指しているのか」を語るほうが、相手に好印象を与えます。特に女性は男性に将来性を求める傾向が強いため、このアプローチは恋愛の場でも有効です。