筋トレの成果を最大化するために、正しい方法やタイミングを意識していますか?筋トレ後の「ゴールデンタイムにプロテインを摂取する」「ストレッチをしっかり行う」など、良く知られている習慣がありますが、意外と見落とされがちな「筋トレ前の行動」によって、その効果が大きく左右されることがあります。
脳の疲労が筋トレパフォーマンスに与える影響
ある興味深い研究によれば、筋トレ前に「脳を使いすぎる活動」を行うと、筋トレの成果が低下する可能性があります。この研究は、筋トレ経験のある男性10名を対象に、クロスオーバー試験という方法で実施されました。
被験者はまず、筋トレの基準となる1RM(1回の最大挙上重量)を測定した上で、以下の2つの条件を比較しました。
- 脳が疲労していない状態で筋トレを実施
- ストループテスト(認知負荷の高い課題)を行った後に筋トレを実施
筋トレの種目は70%1RMの負荷で行うバックスクワットを3セット、限界まで繰り返すものでした。
興味深いことに、脳が疲労している状態では筋トレの総ボリューム(挙上回数)が約15.8%も低下しました。この差は筋トレ初心者だけでなく、経験豊富なトレーニーでも顕著に見られたのです。
一方で、筋トレに対するモチベーションや瞬発的な筋力(例えばジャンプ力)には大きな差は認められませんでした。つまり、脳が疲れている場合、やる気はあるのに身体が思うようについていかず、持久力が低下してしまうという結果です。
なぜ脳の疲労が筋トレに影響を与えるのか?
脳の疲労は、筋トレ時の集中力や神経系の働きに影響を与える可能性があります。筋トレには神経筋の効率的な連動が必要ですが、脳が疲れているとその連動が鈍くなり、結果的に筋トレの回数が減少するのです。
過去の研究では、脳の疲労が筋トレパフォーマンスに影響しないとする結果もありましたが、本研究ではその影響が明確に示されました。
筋トレ効果を最大化するためのポイント
では、脳の疲労を防ぐにはどうすれば良いのでしょうか?
- 筋トレは仕事や勉強の前に行う
- 認知負荷の高い作業を避ける
- 適度なウォーミングアップを取り入れる
朝や午前中、脳がフレッシュな状態の時に筋トレを済ませるのがおすすめです。筋トレ後に脳が活性化し、集中力も向上するため、仕事や勉強のパフォーマンスアップにも繋がります。
筋トレ直前に難しい計算や分析、認知負荷の高いテストなどを行うのは避けましょう。これが筋トレのパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。
軽い有酸素運動やストレッチで身体を温めつつ、リラックスした状態で筋トレに臨むと良いでしょう。
筋トレの成果を高めるには、トレーニングそのものだけでなく、脳のコンディションも整えることが重要です。仕事や勉強の合間に筋トレを行う際は、認知負荷の高い作業を避け、効率よくトレーニングする習慣を取り入れましょう。