「好かれたい」「嫌われたくない」という感情は誰もが持つ自然なものです。しかし、他人に好かれようと思って努力すると、むしろネガティブな結果を生むことがわかっています。今回はなぜそうなってしまうのか、心理学的な観点と研究結果から解説します。
内向的に見られる
他人に嫌われないようにと感情を抑えると、結果的に「内向的な人」として認識される可能性が高まります。これは好かれようとするほど、「相手に嫌われないようにしよう」という心理が働き、消極的になってしまうためです。
アメリカ・オレゴン大学の研究では、感情を抑えた人々が、観察者から「他者に関心が薄く、自信がない人」とみなされる傾向があることが示されています。特に外向的な人が感情を隠すと、周囲から「近寄りがたい」と思われてしまい、誤解が生じやすくなります。
親密な関係を避けそうに見える
深い人間関係を築くには、互いに本音をさらけ出すことが不可欠です。しかし、好かれようと努力しすぎると、逆に「本音を明かさない人」「信用できない人」と見られるリスクがあります。
先ほどの研究によれば、深い話を共有しない人に対して、他者は情報を与えたり、重要なチャンスを提供する可能性が低くなることが分かっています。これは、好かれたい気持ちが結果的に孤立を招く例と言えるでしょう。
好感度がむしろ下がる
好かれたいという意識が強すぎると、自分を取り繕いすぎてしまい、結果的に「弱みを隠している人」と見なされることがあります。
心理学の研究では、弱みや失敗を共有する人の方が、他人から親近感を持たれやすいことが示されています。一方で、完璧さを装う人は「裏がある」と見られ、好感度が下がる傾向にあります。
仲間に入れてもらえない
他人から好かれたいと努力する人は、しばしば「信用できない」と思われてしまいます。オレゴン大学の実験では、感情を抑えた人が「仲間にしたい」と評価される割合が大幅に低下することが明らかになっています。
これにより、グループ活動や仕事の場面でも孤立しやすくなり、結果として好かれるどころか疎外される可能性が高まるのです。
共感力が低下する
相手に好かれようとして自分を演じるということは、自分に嘘を吐くということです。また、本当は相手の話に対し否定的でも、好かれたいと思っていると同調してしまうことがあります。これはある種、他人に嘘を吐く行為です。
ミシガン大学の研究によると、嘘をつく頻度が高い人ほど共感能力が低下することが分かっています。この研究では、人々が嘘をつく頻度と共感能力の変化を調査しました。その結果、自分や他人に嘘をつきやすい人ほど、他人の感情を読み取る能力が低いということが判明しました。
これは、人が嘘をつくことで自分の内面や他者の感情とのつながりが薄れることが原因だと考えられています。共感能力が低下すると、人間関係において誤解を招いたり、他者との関係構築が難しくなったりする可能性があります。
まとめ
他人に好かれようと努力すればするほど、消極的になったり自分を偽ったりしてしまい、かえって嫌われてしまう結果に繋がりやすいです。感情を隠さず、自分らしく振る舞うことが、真の信頼を築く鍵です。
そして、信頼関係の構築には聞く力、「傾聴のテクニック」が重要であることもお忘れなく。このスキルを磨くことで、無理なく他人と良好な関係を築くことができるでしょう。