人間関係において、初期段階の数回の接触が極めて重要なことはよく知られています。今回はそれを確かめたスリーセット効果(スリーセット理論)の紹介と、スリーセット効果が恋愛においてどのように影響し、どのように活用できるのかを解説します。
スリーセット理論(スリーセット効果)とは
スリーセット効果とは、人間が他人と接触する際、最初の数回(ここでは3回の接触)を通じてその人に対する印象が大きく変化・固定化するという理論です。
セントアンドリュー大学の実験で提唱されたもので、以下のステップで検証されています。
- 初回接触:男性が女性に対して、あえて好ましくない態度を取る。
- 2回目接触:男性は過去の困難な経験を打ち明け、人付き合いが苦手だと明かす。
- 3回目接触:男性が女性に対して非常に優しく接し、初回に不快な態度を取ったことを謝罪する。
結果として、多くの女性は最終的に男性に好意的な感情を抱き、初回の悪い印象が覆されるという興味深い傾向が確認されました。
なぜ「3回の接触」で印象が固定化しやすいのか
人間の印象形成には、初頭効果(最初の印象が強く残る)や新近効果(最後の印象が強く残る)など、さまざまな心理的メカニズムが作用します。スリーセット効果では、1〜2回目の接触の印象が、3回目で大きく変化・補強されたり、固定化されたりすることがわかっています。
恋愛における「スリーセット理論」の影響
恋愛シーンでは、相手との接触回数が関係の進展を左右する大きな要因になります。スリーセット効果が示すポイントは以下の通りです。
1回目の接触:第一印象の形成
外見や声、ちょっとした会話の内容などで「この人は○○なタイプかも」と仮のイメージがつくられる。
ただし、この印象はまだ変わりやすい。
2回目の接触:補正や理解が進む段階
前回よりリラックスし、本来の個性や魅力を見せることで、最初のイメージが修正・強化される。
相手に関する情報が増え、「意外と話しやすい」「実は○○が苦手らしい」など、背景への理解が深まることが多い。
3回目の接触:印象の固定化
ここで相手への好意や信頼感が固まると、以降の接触で大きく関係が進展しやすい。
逆にここまでの段階でマイナスの印象が固定されると、あとから挽回するのが難しくなる場合もある。
スリーセット効果を恋愛に活かすコツ
最初の接触では「完璧を目指しすぎない」
セントアンドリュー大学の実験のように、最初から好印象を与えすぎるよりも、あとで“ギャップ”を見せるほうが、相手の興味や好意をより強く引き出す場合があります。
もちろん「失礼な態度をとる」必要はありませんが、背伸びしすぎず自然体で臨むと、2回目・3回目に「この人、意外と○○なんだ」と好印象のギャップが生まれます。
2回目は「自分の背景や本音を少しずつ明かす」
2回目の接触時には、過去の経験や苦手なこと、悩みなどを適度にシェアしてみると効果的です。
人は共感や理解を示したくなる相手に親しみを感じます。適度な弱みをさらけ出すことで、距離が縮まることがあります。
3回目は「誠実さ+優しさ」で仕上げる
3回目の接触こそが印象を大きく変え、固定化するチャンスです。
何か失敗や気まずい出来事があったなら、ここでしっかり謝ること。
また、相手が困っているなら思いやりある態度を取るなど、誠実さと優しさをアピールしておくと、「やっぱりこの人いいかも」という決定打になりやすいです。
自分からチャンスを作る
スリーセット効果を発動させるためには、少なくとも3回は会うチャンスを作る必要があります。
1〜2回のデートだけで見切りをつけるのではなく、最低3回の接触を目標に誘いを計画すると、関係が大きく変わる可能性があります。
2回目以降に再会しづらい人には、オンラインビデオチャットやSNSで補うのもひとつの方法です。
注意点:演出と誠実さのバランス
セントアンドリュー大学の実験は「あえて最初、好ましくない態度を取る」という極端な方法がとられていますが、現実の恋愛ではそこまで演出しようとするのはリスキーです。
最初からわざと冷たくすると、本当に嫌われる可能性があり、そうなると次に会う機会を作れず挽回が困難になります。
自然体でいながら、あとから相手をポジティブに驚かせるエピソードや優しさを見せるだけでも、ギャップ効果は高まります。
まとめ
- スリーセット効果(スリーセット理論):最初の3回の接触の中で、人間の印象は大きく変化・固定化されるというセントアンドリュー大学の研究。
- 恋愛における影響:1回目の印象が微妙でも、2回目・3回目で挽回可能。逆にここまでに悪い印象が固定されると、その先が厳しくなる。
- 完璧よりギャップを:初回で「この人、普通かも?」と思われていたところから、2回目・3回目にポジティブな面を見せる。
- 弱みや背景を程よく共有:2回目で自分の悩みや苦手な点をオープンにして、親近感を高める。
- 3回目は誠実さ+優しさを最終アピール:謝罪や助けの行動で、「実はいい人だ」と印象をガラッと変える。
- 最低3回は会えるようプランする:無意識に1、2回の接触で相手を判断してしまわず、3回目を設定して関係を深めるチャンスを作る。
初期の接触回数と内容が、恋愛や婚活の行方を左右するのは確かです。何度か会ううちに見えてくる“本来の自分”や相手の魅力を引き出すためにも、スリーセット効果を意識しながら3回を大事に計画してみるのはいかがでしょうか。
最初の印象がそこまで良くなくても、そこからの挽回やギャップが思わぬ恋のきっかけになるかもしれません。